竹久夢二Ⅰ、竹久夢二Ⅱ(静水の間、星光の間)
静水の間・星光の間には、大正ロマンを代表する作家・竹久夢二の作品が展示されています。直筆原画を含む約50点の作品は、「港屋絵草紙店」「美人画」「童画」「セノオ楽譜」の4つのカテゴリに分けて紹介されます。

展示風景 静水の間 編集部撮影
夢二が没したのは、1934年(昭和9年)。目黒雅叙園3号館が完成したのはその翌年のことです。活動範囲の違いからか、当時は交わらなかった両者。約90年の時を経て夢のコラボレーションがここに実現しました。

静水の間 編集部撮影
「大正の歌麿」ともてはやされた夢二式美人画の特徴のひとつとして、大きくデフォルメされた手や足、特に指先の女性らしい表情が上げられます。手足を小さく描いてきた江戸時代の美人画とは異なる手法であり、こういったスタイルは夢二が特定の師を持たず、画壇にも属さず、終生独学を貫いた点に負う所が大きいと言われているそうです。

こちらは「婦人グラフ」の表紙。「婦人グラフ」は1924(大正13)年から1928(昭和3)年までの4年間に55冊出版された女性向け高級グラビア雑誌で、表紙は挿絵や木版画(のちにはオフセット印刷)を取り込むという手の込んだ仕様でした。夢二人気にあやかり、雑誌はとぶように売れたそうです。

静水の間 編集部撮影
セノオ楽譜「ホームソング」原画。版画の場合、版木と一緒に彫られてしまうため原画が残らないのですが、こちらは石版画のため原画が残っています。

右:セノオ楽譜 ホームソング 大正15年 石版画
星光の間 編集部撮影
「セノオ楽譜」は、妹尾幸陽が日本や外国の数々の名歌と名曲を紹介するために出版していた楽譜集で、夢二は270余点の表紙絵を手掛けています。
明治・大正・昭和のガラス(清方の間)
美人画の大家、鏑木清方が手掛けた清方の間。完成当時「人物画の巨匠 清方画伯先生の大作 目黒雅叙園清方荘の完成」と銘打った新聞広告も打たれ、当時の人気は絶大だったそうです。この清方の間では、「明治・大正・昭和のガラス」をテーマに、日本のガラス職人の作品が展示されます。これらの品はミュージアムショップでそのまま購入できるものもあります。

理科室などで一度は目にしたことのあるHARIOのガラス製品。コーヒーサイフォンなどでも知られていますが、「HARIO Lampwork Factory」ブランドでは、ガラス職人が丹念に作ったガラスのアクセサリーを取り扱っています。

1899(明治32)年創業の廣田硝子の「雪の花」は昭和に作った金型を今でも大切に使って作られています。こちらもミュージアムショップで購入可能、なにげに編集長で愛用品でもあります。

大正ロマン番外編として、石塚硝子株式会社の食器ブランド「アデリア」より「アデリアレトロ」のシリーズの展示も。石塚硝子は創業200年のガラス製品の先駆者です。「アデリアレトロ」は、かつての昭和の家庭で使われていたアデリアのグラスウェアを現代でも安心して使えるようにリメイクされた話題の商品です。

旧目黒雅叙園レトロアーカイブ(頂上の間)
99段の階段を上りきった頂上の間では「旧目黒雅叙園レトロアーカイブ」として、昭和初期の絵葉書、観光パンフレットなどが展示されます。

当時のメニュー。昔の料亭ではメニューに値段がないのが普通でしたが、雅叙園はメニューに料金が明示される明朗会計システムを導入。「豪華に飾られた場所でおいしいお料理を、安価に明朗会計で食べられる」というモットーは非常に人気を呼び、最盛期は1日に8千人もの盛況だったそうです。

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部屋を囲む縁側エリアにはレトロなシチュエーションを背景に「シャンデリア」「クリームソーダ」など小道具も合わせ撮影を楽しめるフォトスポットが設置され、文化財建築を舞台に、シチュエーションごとに「レトロかわいい」撮影を愉しめます。


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観覧前にも一回りしてみてください(ミュージアムショップ)

館内の階段下にあるミュージアムショップ。企画展ごとに商品もレイアウトも変わる、いわばもう一つの展覧会。関連グッズ以外にも、展示される品の一部と同じものを購入することができます。観覧前に一回りしてから、後でまた寄ってみると楽しさ倍増でオススメです。

リソース
- 取材ご協力:ホテル雅叙園東京さま
- 記事中の写真・動画は全て編集部の撮影による
「大正ロマン×百段階段」 開催概要
- 展覧会名:「大正ロマン×百段階段」
- 期間:2022年4月16日(土)~6月12日(日)
- ※5月25日(水)は休館日
- 時間:11:30~18:00(最終入館17:30)
- 会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」
- 料金:一般 ¥1,200 / 学生 ¥600 ※要学生証提示、未就学児無料
- 販売:ホテル雅叙園東京[一般入場券]、公式オンラインチケット[一般入場券、グッズ付入場券、日時指定入場券]
- 主催:ホテル雅叙園東京
- お問合せ:03-5434-3140(イベント企画10:00~18:00)
※状況により、開催内容が一部変更となる場合がございます。
公式サイトの展覧会ページ
出展者
- 松竹衣裳㈱ / マツオヒロミ / ㈱三越伊勢丹 / 高山しげこ / ㈱クラブコスメチックス / ㈱パイロットコーポレーション / キタガワアキコ / 日本ステンドグラス作家協会 / ㈱港屋 / 小澤康麿 / アデリア㈱ / 旭屋ガラス店 / HARIOランプワークファクトリー㈱ / 廣田硝子㈱
東京都指定有形文化財「百段階段」について

百段階段」とは通称で、ホテル雅叙園東京の前身である目黒雅叙園3号館にあたり、1935(昭和10)年に建てられた当館で現存する唯一の木造建築です。 食事を楽しみ、晴れやかな宴が行われた7部屋を、99段の長い階段廊下が繋いでいます。 階段は厚さ約5cmのケヤキ板を使用。 階段で結ばれた各部屋はそれぞれ趣向が異なり、各部屋の天井や欄間には、当時屈指の著名な画家達が創り上げた美の世界が描かれています。 プレスリリースより