《会場レポート》「あやしい絵展」が開幕に 脳裏に焼き付くディープな作品の世界に引き込まれて来た (東京国立近代美術館)

2021年3月22日

投稿:ミュージアムズ編集部
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「あやしい絵展」が東京国立近代美術館にて開幕。 
 ~絵に潜む真実、のぞく勇気はありますか?~

編集部撮影

東京国立近代美術館にて展覧会「あやしい絵展」が2021年3月23日(火)より開催中です。「美しい」だけでは括ることができない、グロテスク、エロティック、退廃的、神秘的、ミステリアスな作品を「あやしい絵」として紹紹介する同展では、幕末から昭和初期に制作された、一度見たら忘れられない名画やディープで「あやしい」作品・物語の世界を堪能できます。会期は2021年5月16日(日)まで。編集部では開幕に先だって開催されたプレスプレビューを取材しました。

会場レポート:「あやしい絵展」

本展は日本近代の美術における美しさの「陰画(ネガ)」を紹介する展覧会。上村松園の《花がたみ》、鏑木清方《妖魚》等「あやしい」魅力にあふれた作品、また甲斐庄楠音《横櫛》、橘小夢《安珍と清姫》、秦テルヲ《血の池》等の強烈な印象の「あやしい」作品などが紹介されるとともに、会場では作品の背景がわかる仕掛けがほどこされ、これらを作品を「読む面白さ」とともに楽しむことができます。

会場入口からすぐの「白瀧姫」。生きているような等身大の「生人形(いきにんぎょう」が「あやしい絵」の世界へ来場者を誘います。

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展覧会 会場 写真中央 「白瀧姫」安元亀八 明治28(1895年頃)桐生歴史文化資料館 編集部撮影
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北野恒富 《道行》 大正2(1913)年頃、福富太郎コレクション、3月23日~4月4日
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 編集部撮影
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  • 左:甲斐庄楠音 《横櫛》 大正5(1916)年頃、京都国立近代美術館、通期展示
  • 中:上村松園 《焰》 大正7(1918)年、東京国立博物館、東京展のみ、3月23日~4月4日
  • 右:上村松園 《花がたみ》 大正4(1915)年、松伯美術館、後期展示(4月20日~5月16日)

遠景から撮影しているのでわかりづらいですが、写真の一番奥の「拳を打てる三人の舞妓の秀作」は中央で四角く切り取った跡があります。これは、第3回国画創作教会展への出品が間に合いそうもなく、やむなく作品を切断して完成していた中央部分のみを出品したからなのだそうです。

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展覧会 会場
画面一番奥は 「拳を打てる三人の舞妓の秀作」 岡本神草 大正9(1920)年 京都国立近代美術館所蔵 ※前記のみ出品 
編集部撮影

編集後記(記者の感想など)

お化け屋敷的なおどろおどろしさではなくて、作品の題材や背景などの内面からくる情念的なものがじわじわと伝わってくる、静かな中にも迫力のある展示です。ディープな作品世界に引き込まれるような磁力もありつつ、サイズの大きな作品も多く、濃い作品がずらりと並ぶ展示室は壮観で、あやしくも不思議な爽快感を感じました。また、音声ガイドのナビゲーターでは、平川大輔さんが「あやしい絵」の世界をさらに広げてくれますので、ぜひご利用をおすすめします。じっくり時間をかけて堪能したい展覧会です。

開催概要「あやしい絵展」(東京会場) 

 チケット情報他、最新の情報については公式サイトをご確認ください。

  • 会場:東京国立近代美術館 1階 企画展ギャラリー(北の丸公園・竹橋)
  • 会期:2021年3月23日(火) ~ 5月16日(日)
  • 会期中、展示替えを行います。主な展示替えは、前期:3月23日(火)~4月18日(日)、後期:4月20日(火)~5月16日(日)となります。
  • 開館時間:9:30 ~ 17:00 (金・土曜日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
  • 休館日:月曜日(ただし3月29日、5月3日は開館、5月6日(木)は休館)
  • 主催:東京国立近代美術館、毎日新聞社、日本経済新聞社
  • 協賛:損害保険ジャパン、DNP大日本印刷

展覧会の公式サイト

https://ayashiie2021.jp/

リソースと取材協力

  • 取材ご協力:国立近代美術館さま、「あやしい絵展」広報事務局さま、同展プレスリリース
  • 記事中の会場内写真についてはプレスプレビューにて編集部による撮影、その他は広報事務局さまご提供の広報写真です。

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