
東京国立博物館(上野公園)にて特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」が2021年4月13日(火)に開幕しました。誰もが知っている、日本絵画史上もっとも有名な作品のひとつといえる国宝「鳥獣戯画」。本展では甲・乙・丙・丁全4巻の全場面を会期を通じて一挙公開されるほか「動く歩道」の導入による新しい鑑賞体験など見所も多く必見の展覧会。編集部では開幕に先だって開催された報道内覧会を取材、一足先に会場の雰囲気などをご紹介します。
なお、6月1日より再開されており、6月20日(日)までとなります。これにともない休館日や開館時間等変更がありました。詳細と最新情報についてはおでかけ前に公式サイトをご確認ください。

会場レポート:特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」
展覧会は「第1章 国宝 鳥獣戯画の全て」「第2章 鳥獣戯画の断簡と模本 -失われた場面の復原-」「第3章 明恵上人(みょうえしょうにん)と高山寺」の全3章にわかれています。

前半では、文字通り「国宝 鳥獣戯画」の全てを体感できる
前半にあたる1、2章では合計44メートルを超す国宝4巻の全画面を全会期間にわたり全て紹介する以外にも、後年に描かれた模本、さらには伝来の過程で本来の巻物から別れ、一場面ごとの掛け軸になった断簡(だんかん)なども紹介され、まさに国宝「鳥獣戯画」のすべてに触れることができます。
※このセクションの写真は一部順不同になっています。


史上初の「動く歩道」による新たな観賞体験

展覧会史上初の試みとして導入された「動く歩道」。国宝「鳥獣戯画 甲巻」はこれに乗って観賞することになります。この「動く歩道」は、空港や駅などに設置されているものと同基準の仕様で本展覧会のために製造されたもの。本来は巻き広げながら鑑賞される、動画的な媒体である絵巻の、あるべき姿に近い形での鑑賞体験が可能となります。

記者も実際に乗って体験してみましたが、駅などに設置されているものに比べると非常にゆっくりと進んで行くのと、前の人と重なることがないため、ストレスなく、そしてじっくりと国宝を堪能することができました。

編集長的には後半もかなりオススメです!「第3章 明恵上人(みょうえしょうにん)と高山寺」

展覧会の後半「第3章 明恵上人(みょうえしょうにん)と高山寺」では国宝「鳥獣戯画」の伝わる、京都の古刹(こさつ)、高山寺と鎌倉時代の再興の祖、明恵上人(みょうえしょうん)について紹介されます。本章では、寺内でも一般公開されていない秘仏、重要文化財「明恵上人坐像」など高山寺の選りすぐり名宝が公開されます。
重要文化財「明恵上人坐像」

重要文化財「明恵上人坐像」は禅堂をイメージしたエリアに設置されます。月明りの中に明恵上人が浮かぶ美しい展示はぜひ実際の会場で体験してほしいと思います。また、明恵上人ゆかりの品として伝えられてきた日本最古のタツノオトシゴの標本、かつては「明恵上人坐像」とともに安置されていたという需要文化財「子犬」などとともに、「鳥獣戯画」が伝わった背景などにも心を馳せてみては。
日本最古のタツノオトシゴの標本

明恵上人ゆかりの品々を納めた唐櫃(からびつ)に入れられ大切に伝えられてきたタツノオトシゴで明恵の孫弟子である仁真(にんしん)が伝えたもので、日本最古のタツノオトシゴの標本でもあります。
展覧会の最後は重要文化財「子犬」がお見送り

重要文化財「子犬」は、運慶(うんけい)の子、湛慶(たんけい)の作の可能性が高いとされています。湛慶は高山寺の高山寺の造像を数多く手がけています。
会場内特設ショップ
第一会場と第二会場間に設定された会場内特設ショップでは、展覧会図録(3,000円)をはじめ、多数の限定アイテムが登場。トートバッグなど普段使いにも良さそうな商品もたくさん。グッズ関連については後日別記事でまとめてお伝えしようと思います。


開催概要:特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」
会期中、一部作品の展示替え、および場面替えを行います。国宝 鳥獣戯画4巻は会期を通じ、場面替えなしで全場面を展示します。入館料金、その他の注意点や最新の情報、詳細については展覧会の公式サイトを必ずご確認ください。また、混雑緩和のため、本展は事前予約制(日時指定券)を採用しており、すべての来場者は日時指定券の予約が必要となります。
- 展覧会名:特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」
- 会期:2021年6月20日(日)まで
- 開館時間:午前8時30分~午後8時(最終入場は午後7時)
- 総合文化展は午前9時30分~午後5時
- 休館日なし ※ただし6月14日(月)は13時より開館、総合文化展は月曜日休館
- 開館時間:午前8時30分~午後8時(最終入場は午後7時)
- 会場:東京国立博物館 平成館
展覧会公式サイト
取材ご協力
- 東京国立博物館さま、特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」広報事務局さま
- 記事中の写真及び動画は報道内覧会にて編集部で撮影、また作品画像に関しては広報事務局さまご提供のものとなります。
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