東京都江戸東京博物館(墨田区)にて葛飾北斎と歌川広重をテーマにした展覧会、特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」が4月24日(土)に開幕します。館蔵浮世絵コレクションによる特別展は同館初の試みで、見所の一つとしては、北斎の代表作「冨嶽三十六景」全点展示。展覧会の前半では、冨嶽に至る天才絵師北斎の20歳代後半から60歳代までの挑戦を作品からたどっていきます。一方、冨嶽が刊行したころ、広重は30歳代後半、ヒット作のない絵師にすぎませんでした。ここから広重の自分らしい風景画への挑戦が始まります。会期は6月20日(日)まで。
現在、コロナ禍という未曽有の戦いが続いておりますが、皆さまに北斎と広重それぞれの挑戦と、その結実である名作の数々をお楽しみいただければ幸いです。(プレスリリース)
展示構成や主な作品紹介
プロローグ ―広重、絵師を目指す
歌川広重こと安藤徳太郎が10歳の時に描いた「三保松原図」。画面の構成や松原の描き分けなどはなかなかのものです。父に絵の才能を認められた徳太郎少年の夢は「もっと上手に絵を描けるようになること」。やがて浮世絵師の歌川豊広に弟子入りし、その夢を実現していきます。しかし、その前に立ちはだかる高い壁は、天才絵師・葛飾北斎の存在でした。

第1章 風景画への道―北斎のたゆまぬ努力
幼少期から絵を描くことが好きだった北斎。安永7年(1778)に勝川春章に入門し、翌年から「勝川春朗」の名で作品を出し始めます。第1章では、「冨嶽三十六景」に至るまでの北斎20歳代後半から60歳代までの挑戦の数々をたどっていきます。


第2章 葛飾北斎「冨嶽三十六景」の世界
第2章では、江戸東京博物館所蔵の「冨嶽三十六景」全46図を一挙公開!70歳を越えた北斎の並々ならぬ気迫、多彩に変化する富士の情景、計算し尽くされた大胆な構図、そして抜群の色使い。広重も驚きをもって見たに違いありません。日本だけでなく、世界中で愛される本シリーズ全作品を展示します。また、会期中は常設展示室より「北斎の画室模型」が1階特別展示室にお引越し。生涯93回も引越しをした北斎の暮らしぶりを再現します。




第3章 新たな風景画への道―広重の挑戦と活躍
北斎に触発された広重は、自分らしさを出した「東海道五拾三次之内」シリーズを始めとした数々の名所絵により、風景画の中心を担う浮世絵師へと成長していきます。第3章では、独自色を打ち出した、広重の風景画の名品をご紹介します。


■エピローグ ―広重、“富士”を描く
北斎没後、広重も多くの富士を描きました。そこには、影響を受けたというだけでなく、北斎の富士を越えようとする広重の対抗心とあくなき挑戦がうかがえます。エピローグでは、広重の描いた「名所江戸百景」シリーズや様々な富士を描いた「富士見百図」、広重が愛用した煙草入れなどの貴重な遺品も展示します。


開催概要
新型コロナウイルス感染症の状況によって、会期・開催時間を変更する場合があります。最新の情報は公式ホームページでご確認下さい。
- 特別展 「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」
- 令和3年4月24日(土)~6月20日(日)
- 開館時間:午前9時30分~午後5時30分※入館は閉館の30分前まで
- 休館日:毎週月曜日(ただし4月26日、5月3日は開館) ※会期中展示替えはありません。
公式サイト

リソース
- 公益財団法人東京都歴史文化財団プレスリリース