国宝「鑑真和上坐像」が特別出展 特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」(京都国立博物館)

2020年11月30日

投稿:M3PRESS編集部

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凝然国師没後700年 特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」が京都国立博物館で2021年3月27日(土)より開催

 京都国立博物館で2021年3月27日(土)より、凝然国師没後700年 特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」が開催されます。
 中国・唐時代の高僧、鑑真(がんじん 688~763)は、五度の日本への渡航失敗と失明をものともせず、天平勝宝5年(753)、6度目にしてようやく日本の地を踏み、唐招提寺を拠点に、中国正統の律の教えを日本に定着させ、日本仏教の質を飛躍的に高めました。
 特別展では、日本仏教の恩人と言うべき鑑真の遺徳を唐招提寺に伝えられた寺宝によって偲ぶとともに、戒律のおしえが日本でたどった歩みを、綺羅星のような名僧の活躍と関係諸寺院の名宝を綴ることで紹介していきます。
 会期は2021年5月16日(日)まで。前期(3月27日〈土〉~4月18日〈日〉)、後期(4月20日〈火〉~5月16日〈日〉)で展示替が行われます。

  • リソース:「鑑真展」広報事務局さま、「鑑真展 プレスリリース」
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展覧会のみどころ

 45年ぶりに 国宝「鑑真和上坐像」が京都の地で公開されます。これは、唐招提寺御影堂修理により実現したものであり、寺外での公開は12年ぶり、京都国立博物館では昭和51年(1976年)の「日本国宝展」以来となります。また、明治までの日本戒律の祖師達とその歴史が一堂に公開される他、特別出展として、藪内佐斗司作「凝然国師坐像」も公開されます。

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国宝 鑑真和上坐像  奈良時代(8世紀)、奈良・唐招提寺、通期展示、撮影:金井杜道
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展覧会構成と作品紹介

第一章 戒律のふるさと ― 南山大師道宣に至るみちすじ ―

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三国祖師影(部分) 平安時代 久安6年(1150)、京都・大谷大学博物館、後期展示

 律とは僧侶の集団生活を行う上で生じた問題点を弟子が釈迦に聞いたものが、各部派で整理されていったものです。仏教が中国に伝わった際にも、律は僧侶のあるべき姿を示すものとして重視されましたが、中国の僧にとってインドの風俗は文献だけでは理解できないことが多々あり、戒律研究のためにインドに渡る僧侶を輩出しました。こうした中国の律学研究を集大成したのが、南山大師道宣(596~667)です。道宣の系譜は南山律宗と言われ、中国の主流として長く続きました。

第二章 鑑真和上来日 ― 鑑真の生涯と唐招提寺の創建 ―

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重要文化財 東征伝絵巻 巻二(部分) 鎌倉時代 永仁6年(1298)、奈良・唐招提寺、展示期間:3月27日~4月25日、撮影:金井杜道

 鑑真(688~763)は唐の揚州(江蘇省)の生まれ、律は道宣の系譜を継いでいます。揚州・大明寺の住職を務めていた時に(天宝元年/天平十四年〈七四二〉)、聖武天皇の意を受けた日本僧、栄叡(ようえい)、普照(ふしょう)から戒律を日本へ伝えるよう懇請されました。鑑真は地位をなげうち日本への渡海を試みますが、五回にわたり挫折、六度目にして漸く日本の地を踏みました。時に天平勝宝五年(753年)のことで、その厳しい行旅により既に失明していたことはよく知られています。朝野の歓迎を受け、東大寺に戒壇を整備した後、唐招提寺を賜り、後進の指導にあたりました。
 本章では国宝「鑑真和上坐」を中心に、鑑真の足跡を目でたどります。

第三章 日本における戒律思想の転換点 ― 最澄と空海 ―

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重要文化財 弘法大師坐像 、鎌倉時代 正中2年(1325)頃、奈良・元興寺、通期展示

 仏教が民衆救済に向き合うようになると、戒律に対する姿勢も変化します。その最初が、天台宗の最澄(767、一説766~822)です。最澄は釈迦から隔たった日本では戒律をそのまま守り得ないと考え、皆が守れるような最低限の規範としての大乗戒に注目し、南都と異なる立場を取るに至りました。この思想は大きな転換点となり、浄土宗の法然(1133~1212)や浄土真宗の親鸞(1173~1263)、日蓮法華宗の日蓮(1222~1282)に継承されています。
 また、空海(774~835)が唐から伝えた密教は、従来の戒律を重んじたほか、三昧耶戒(さんまやかい)と呼ばれる特有の戒が存在しました。また、密教の本場主義は、戒律運動が釈迦への原点回帰を目指した際の道しるべとなりました。

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国宝 法然上人絵伝 巻十(部分) 鎌倉時代(14世紀)、京都・知恩院、後期展示

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国宝 円珍戒牒(部分)  平安時代 天長10年(833)、東京国立博物館、前期展示

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重要文化財 金銅装戒体箱(元応二年五月十二日朱漆銘)、鎌倉時代 元応2年(1320)、大阪・金剛寺、後期展示、撮影:森村欣司

第四章 日本における戒律運動の最盛期 ― 鎌倉新仏教と社会運動 ―

 鎌倉新仏教と呼ばれる民衆に向き合った仏教革新運動において、戒律は重要な役割を果たしました。覚盛(1194~1249)、叡尊(1201~1290)は、唐招提寺、西大寺をそれぞれ拠点として戒律を復興し、現在の律宗と真言律宗の基礎を築きました。また、東大寺では戒壇院を中心に戒律研究が進み、凝然(1240~1321)という大学者も現れました。彼らは弟子にも恵まれ、勧進、すなわち民衆の力を結集することによって社会福祉事業の実践に大きな力を発揮し、鎌倉時代を通じて大きな影響力を持ちました。また、俊芿(1166~1227)は、中国・南宋に渡って戒律を学び、帰国後、泉涌寺を中心に活躍しました。

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重要文化財 『南山教義章』 巻第二十九(『華厳孔目章発悟記』巻第二十一紙背)(部分) 凝然筆、鎌倉時代 正応4年(1291)、京都国立博物館、通期展示
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重要文化財 覚盛上人坐像 成慶作、室町時代 奈良・唐招提寺、通期展示、撮影:金井杜道
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国宝 興正菩薩坐像 善春作、鎌倉時代 弘安3年(1280)、奈良・西大寺、後期展示、撮影:森村欣司

第五章 近世における律の復興

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慈雲巌上坐禅像 原在中筆 江戸時代 天明3年(1783)、大阪・高貴寺、前期展示

 近世では再び戒律復興運動が盛んになります。その先鞭をつけたのが、京都・槙尾の西明寺に拠った明忍(1576~1610)です。戒律運動の第二のルネサンスというべく、宗派を超えて多くの逸材が現れましたが、とりわけ慈雲(1718~1805)の名が知られています。
 慈雲は梵学(サンスクリット研究)の大家として有名でした。この仏教の根源を問う学究的態度こそ、近世戒律復興運動を特色づけています。彼らは大坂や江戸といった大都市圏にあって、理知的な態度で社会と接し、商工業を生業とする新興の町人層の職業倫理形成に大きく寄与しました。近世戒律思想は、江戸時代仏教でもとりわけ大きな存在感を示しており、明治時代以降の近代仏教革新運動に通じる斬新さを持っています。

開催概要

  • 展覧会名:凝然国師没後700年 特別展 鑑真和上と戒律のあゆみ
  • 会期:2021年3月27日(土)~ 5月16日(日) ※会期中、一部作品の展示替あり
  • 会場:京都国立博物館 平成知新館
  • 休館日:月曜日 ※ただし5月3日(月・祝)は開館、5月6日(木)休館(予定)
  • 主催:京都国立博物館、律宗総本山 唐招提寺、日本経済新聞社、京都新聞、NHK京都放送局
  • 特別協力:華厳宗大本山 東大寺、真言宗泉涌寺派総本山 御寺 泉涌寺、真言律宗総本山 西大寺 (五十音順)

展覧会公式サイト

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