《展覧会みどころ》 聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」 (奈良国立博物館 / 東京国立博物館)

2021年2月16日

投稿:M3PRESS編集部

法隆寺

特別展「聖徳太子と法隆寺」が、奈良国立博物館、東京国立博物館にて開催されます。これは令和3年(2021)が聖徳太子の1400年遠忌にあたることを記念して開催されるもので、会期は奈良展が2021年4月27日(火)~6月20日(日)、東京展は2021年7月13日(火)~9月5日(日)となります。

法隆寺において護り伝えられてきた寺宝を中心に、太子の肖像や遺品と伝わる宝物、また飛鳥時代以来の貴重な文化財を通じて、太子その人と太子信仰の世界に迫る本展。この記事では、この特別展のみどころを画像とともに紹介します。

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《会場レポート》 聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」 (東京国立博物館 平成館)

東京国立博物館 平成館で開催の聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺 の会場を画像とともにレポート。見どころ紹介と合わせてどうぞ!
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https://m3press.jp/horyuji2021-report/
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奈良展と東京展

本展は会期2021年4月27日(火)~6月20日(日)の奈良展(奈良国立博物館)、その後に2021年7月13日(火)~9月5日(日)の会期で東京展(東京国立博物館 平成館)が開催されます。両展とも前後期で展示替えがあり、それぞれの会場だけで展示される作品もあります。

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聖徳太子二王子像(模本) 狩野養信模写
江戸時代・天保13年(1842)、東京国立博物館蔵、東京展のみ通期展示

展覧会みどころ

奈良・斑鳩の地に悠久の歴史を刻む法隆寺は、推古天皇15年(607)、聖徳太子によって創建されたと伝えられます。太子は仏教の真理を深く追究し、また冠位十二階や憲法十七条などの制度を整えることで、後世に続くこの国の文化的な基盤を築き上げました。聖徳太子を敬う人々の心は、その没後に信仰として発展し、こんにちもなお日本人の間に連綿と受け継がれています。特に金堂の薬師如来像は日本古代の仏像彫刻を代表する存在であり、飛鳥時代の仏教文化がいかに高度で華麗なものであったかを偲ばせてくれます。

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国宝 薬師如来坐像
飛鳥時代・7世紀、奈良・法隆寺蔵、奈良展、東京展ともに通期展示

本展覧会は1400年という遙かなる時をこえて、今を生きる私たちが聖徳太子に心を寄せることでその理想に思いを馳せ、歩むべき未来について考える絶好の機会となることでしょう。

1章 聖徳太子と仏法興隆

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夾紵棺断片
飛鳥時代・7世紀、大阪・安福寺蔵、奈良展、東京展ともに通期展示

聖徳太子の祖父にあたる欽明(きんめい)天皇の時代、朝鮮半島の百済くだらから正式に仏教が伝わりました。仏教の受容をめぐっては蘇我氏(そがし)と物部氏(もののべし)を中心とする戦いなどの混乱がありましたが、やがて太子が政治の中心的な立場になると急速に浸透していきます。

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重要文化財 菩薩立像
飛鳥時代・7世紀、奈良・法隆寺蔵、奈良展、東京展ともに通期展示

金銅仏をはじめとした仏像が造られるようになり、太子自らも法華経をはじめ仏教の真理を研究したとされます。

この章では太子ゆかりの品々を通じ、聖徳太子その人と最初期の日本仏教を概観します。

2章 法隆寺の創建

聖徳太子は、自らが住む斑鳩宮(いかるがのみや)に隣接して法隆寺を創建しました。『法隆寺資財帳』では推古天皇15年(607)のこととされ、同年には小野妹子(おののいもこ)が遣隋使として中国大陸に派遣されています。

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国宝 天寿国繡帳
飛鳥時代・622年頃、中宮寺蔵、東京展のみ前期展示

法隆寺の創建は冠位十二階制定(603年)以降の目覚ましい歴史的な転換期になされたものであり、その名が意味するように「仏法興隆」を推し進める中心地でした。

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国宝 灌頂幡(部分)
飛鳥時代・7世紀、東京国立博物館蔵(法隆寺献納宝物)、奈良展、東京展ともに通期展示

本章では儀式の場で用いられた多くの仏具や伎楽面(ぎがくめん)を通じ、法隆寺の荘厳(しょうごん)が紹介されます。

3章 法隆寺東院とその宝物

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国宝 観音菩薩立像(夢違観音)
飛鳥時代・7世紀、奈良・法隆寺蔵、奈良展のみ通期展示

太子が住んだ斑鳩宮。天平11年(739)になって、その跡地に建立されたのが東院伽藍(とういんがらん)です。中心をなす夢殿の本尊は太子等身の救世観音像(くせかんのんぞう)であり、創建にあたっては太子の遺品類も集められました。

夢殿後方の絵殿(えでん)・舎利殿(しゃりでん)には「聖徳太子絵伝」と「南無仏舎利」が安置され、太子信仰の重要な拠点でした。

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重要文化財 聖徳太子坐像(七歳像)
平安時代・治暦5年(1069)、奈良・法隆寺蔵、奈良展のみ通期展示

本章では聖徳太子の遺徳を称える聖霊会(しょうりょうえ)のうち、10年に一度行われる大会式(だいえしき)など、東院伽藍にまつわる華やかな法要にも注目します。

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国宝 行信僧都坐像
奈良時代・8世紀、奈良・法隆寺蔵、奈良展、東京展ともに通期展示
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国宝 聖徳太子絵伝(部分) 秦致貞筆
平安時代・延久元年(1069)、東京国立博物館蔵(法隆寺献納宝物)、奈良展のみ前期展示

4章 聖徳太子と仏の姿

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国宝 聖徳太子および侍者像のうち聖徳太子
平安時代・保安2年(1121)、奈良・法隆寺蔵、奈良展、東京展ともに通期展示

平安時代になると、聖徳太子を救世観音(くせかんのん)の生まれ変わりとみる信仰が生まれ、太子も中心的な信仰の対象となりました。その代表作が聖徳太子の500年遠忌に制作された法隆寺聖霊院(しょうりょういん)の「聖徳太子および侍者像」。今回の特別展は、秘仏本尊として通常には拝観の機会がない本像を間近に拝観できる極めて貴重な機会となります。

また、二歳像や十六歳像など聖徳太子は様々な姿で表されてきました。本章では多彩な太子の姿とともに、法隆寺に伝来した仏画の名品をご紹介します。

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重要文化財 聖徳太子像(孝養像)
鎌倉時代、奈良・法隆寺蔵、奈良展、東京展ともに後期展示
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善光寺如来御書箱
飛鳥時代・7世紀、奈良・法隆寺蔵、東京展のみ通期展示

5章 法隆寺金堂と五重塔

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国宝 四天王立像 多聞天
飛鳥時代・7世紀、奈良・法隆寺蔵、奈良展、東京展ともに通期展示

『日本書紀』によると、法隆寺最初の伽藍(若草伽藍)は天智天皇9年(670)に焼失したとされ、その後再建されたのが現在の西院伽藍(さいいんがらん)です。

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国宝 玉虫厨子
飛鳥時代・7世紀、奈良・法隆寺蔵、奈良展のみ通期展示

金堂は7世紀後半に建てられた世界最古の木造建築として知られ、創建以来大きな変化なく伝えられた内陣は、まさに奇跡の空間です。五重塔は仏舎利を祀った建築で、内部には釈迦の生涯などを表した塔本塑像(とうほんそぞう)が安置されています。

本章では金堂と五重塔ゆかりの仏像を中心に、その荘厳な世界を観覧できます。

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国宝 伝橘夫人念持仏厨子
飛鳥時代・7~8世紀、奈良・法隆寺蔵、東京展のみ通期展示
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国宝 羅漢坐像(塔本塑像のうち)
奈良時代・和銅4年(711)、奈良・法隆寺蔵、奈良展、東京展ともに通期展示
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開催概要 聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」

奈良展

  • 会期:2021年4月27日(火)~6月20日(日)
    • 前期 4月27日(火)~5月23日(日) 
    • 後期 5月25日(火)~6月20日(日)
  • 会場:奈良国立博物館 東・西新館(奈良公園内)
  • お問合せ:050-5542-8600(ハローダイヤル)
  • 奈良国立博物館の公式サイト https://www.narahaku.go.jp/

東京展

  • 会期:2021年7月13日(火)~9月5日(日)
    • 前期 7月13日(火)~8月8日(日)
    • 後期 8月10日(火)~9月5日(日)
  • 会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
  • お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
  • 東京国立博物館の公式サイト https://www.tnm.jp/

展覧会公式サイト

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リソース

  • 聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」広報事務局さま、同展プレスリリース