※作品画像の表示は終了しました。

京都国立博物館の春の特別展「池大雅 天衣無縫の旅の画家」
2018年4月7日より京都国立博物館で特別展「池大雅 天衣無縫の旅の画家」が開催されます。国内では85年ぶり、過去最大規模での大回顧展。出展作品も過去最大の120件を上回る約180件を予定しています。
特別展「池大雅」展覧会概要
- 2018年4月7日(土)より5月20日(日)
- 会場:京都国立博物館 平成知新館
- 開館時間:9時30分〜18時
— (金土曜日は20時まで)
— 入館は閉館時間の30分前まで
— 休館日は月曜日、4/30(月祝)は開館、翌5/1(火)は休館 - 観覧料:一般1500円、大学生1200円、高校生900円(当日券の場合)
- 主催:京都国立博物館、読売新聞社
先のエントリにて、記者発表会の様子をお伝えしましたが、この記事ではさらに詳しく特別展「池大雅」についてご紹介したいと思います。
南画の大成者、池大雅
池大雅(1723-76)は、円山応挙や伊藤若冲など、個性派画家がしのぎを削る江戸時代中期の京都画壇において、与謝蕪村とともに『南画の大成者』と並び称される画家です。 その作品は、寡欲で恬淡、きわめて謙虚だったと伝えられる人柄を象徴するかのような、清新で衒いのない明るさに満ちています。天性の才ともいえる柔軟で芯の通った線描、みずみずしい色彩感覚、おおらかで雄大な空間表現など、江戸時代を彩る数多の画家のなかでも最も魅力的であり、かつ最も重要な画家の一人といえます。
大雅の初期から晩年にいたる代表作を一堂に集めご覧いただくことで、池大雅という画家、ひいては江戸時代の南画の魅力を多くの方々と共有することを大きな目標としています。(プレス用資料より)
特別展では、その人となりや幅広い 交友関係を示す資料を通し、当時から愛された人間大雅の魅力に迫るとともに、「旅の画家」としての池大雅の姿、その旅が絵画制作に果たした役割についても検証していきます。
国内では85年ぶりの大回顧展
- 85年ぶりの大回顧展
- 過去最大規模の大雅展
- 18世紀京都画壇三巨匠、最後の一人登場 (プレス用資料より)
池大雅の回顧展は国内では長らく開催されておらず、近年ではむしろ海外において大規模な展覧会が行われ、大きな注目を集めました。
国内で開催された大雅の回顧展としては、昭和8年(1933)恩賜京都博物館(現在の京都国立博物館)の「池大雅遺墨展覧会」がありますが、今回の特別展「池大雅」はそれ以来、実に85年ぶりの大回顧展となります。出展作品も過去最大の120件を上回る約180件が予定され、円山応挙展(1996年)、伊藤若冲展(2000年)に続き、18世紀京都画壇の三巨匠最後の一人の登場となる待望の展覧会です。
展示について
旅する画家、大雅の人生をたどり、初期から晩年にいたる代表作が展示されます。
「文人画(南画)とは何ぞや、ということ以上に、池大雅の人柄を反映した明るい作品、それ自体の魅力を表現した展覧会です。旅する画家、池大雅の人生の追体験をしてもらえれば」(記者発表会にて、京都国立博物館 福士雄也研究員)
以下、展示される作品の一部をご紹介します。
大雅の生い立ちと初期の作品
4歳で父を亡くした大雅は、7歳で書を学び「神童」と呼ばれました。15歳の時に扇に絵を描いて売る店を開く形で画家としての活動を開始します。
指墨画 – 墨を操る魔法の指
大雅は、筆の代わりに指を用いて描く「指墨画 」を20代後半に多くてがけています。指墨画は、本来、即興性の強いパフォーマンスアートといえるものですが、大雅は指墨独特の表現を自己の様式として積極的に取り入れて行きます。
大雅と書
池大雅は書家としてもその名を馳せており、当時流行の唐様と呼ばれる中国風の書風を基礎に置きつつ、伸びやかで格調高いスタイルが魅力です。数ある大雅の書作品の中から、特に画との見小な調和を見せる作品を中心に、その書の世界を紹介していきます。
旅する画家 – 日本の風景を描く
また、池大雅は旅する画家としても有名で、富士山には少なくとも3度は登っており、富士山をモチーフとした作品も多数あります。旅先で得た自然の実感にもとづく風景表現(真景図)は、これ以降の作品にも大きな役割を果たすことになり新たな絵画世界を切り開いていきます。
天才、本領発揮 – 大雅芸術の完成
大雅の絵画芸術は、40歳頃に完成された自己の様式へと到達し、国宝・重要文化財に指定される作品のほとんどはこの時期に集中しています。「蘭亭曲水・龍山勝会図屏風」など、この時期の作品に顕著な優れた空間表現には、20−30歳代にかけての旅を通じて得た自然景の実感が反映されていると考えられています。
十便十宜図も出品予定
中国の絵のスタイルを模倣するのではなく独自のスタイルで発展させて自己の様式を確立、江戸自体の印象派と呼ばれる池大雅は文豪・川端康成もその作品を収集しています。記者発表会では、川端康成の愛蔵品でもあった、池大雅と与謝蕪村との競作「十便十宜図」も展示される見込みとのことです。
旅する画家大雅の人生の追体験が出来る展示、かなり楽しみですね。
特別展「池大雅」
- 2018年4月7日(土)より5月20日(日)
- 京都国立博物館 平成知新館
関連記事
おわりに
池大雅の作品は丹念な描写、密度の高い画面構成に特徴がありますが、南画のいわば弱点として「写真写りに弱い」という点があります。したがってやはりネットではこの魅力を全て伝えきることは不可能と思っています。ぜひ、京都国立博物館で実物を近くで観たいですね。