国宝指定の古伯耆物が同時公開 後期展示開催中
「最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆展」 (春日大社 国宝殿 )は、2020年2月1日(土)よりは後期展示が開催中です。
源頼光が酒呑童子退治に用いたとされる太刀「童子切」(国宝)で名高い刀工、伯耆国安綱一門。本展は、国宝・重要文化財に指定された、そのほぼすべての刀剣が、900年の時空を超えて、春日大社国宝殿に集結する刀剣史上初の画期的な展覧会です 。 会期は3月1日(日)まで。
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国宝に指定される古伯耆物2点が同時に登場
国宝に指定されている古伯耆物は、「太刀 銘安綱(名物童子切)」(東京国立博物館所蔵)と「太刀 銘安家」(京都国立博物館所蔵)の2点のみ。2月1日より「太刀 銘安家」が公開され、国宝に指定されている古伯耆物を2点同時に鑑賞できます。
国宝「太刀 銘安綱 (名物童子切安綱)」
源頼光が酒呑童子(しゅてんどうじ)退治に用いたとされる伝説の太刀、国宝「太刀 銘安綱 (名物童子切安綱)」。東京国立博物館の門外不出の国宝といわれているこの刀は、刀身が腰元で強く反る緊張感のある姿、小乱れを主調に変化に富む刃文を焼く太刀は、古来「天下五剣」の一つと称えられました。本作品が東京国立博物館の所蔵となって以降は館外へ出品されるのは ほとんど例がありません。

- 国宝「太刀 銘安綱 (名物童子切安綱)」 平安時代(10~12世紀) 東京国立博物館
平安時代の伯耆国(鳥取県中・西部)の刀工、安綱の最高傑作といわれている。刀身が腰元で強く反る緊張感のある姿で、変化に富む小乱れの刃文を焼いており、古来「天下五剣」の一つといわれた。江戸時代の刀剣書『享保名物帳』には、源頼光が丹波国の大江山で酒呑童子を斬った太刀であるという伝説が記されている。源頼光から足利将軍家を経て、豊臣秀吉、徳川家康・秀忠が所持し、越前藩主の松平忠直に贈られた後、津山藩(岡山県)の松平家に伝わった。
名物三日月宗近と同じ三条宗近作「太刀 銘 三条」を公開
後期展示では、天下五剣のひとつ「太刀 銘 三条(名物三日月宗近)」の同作である南宮大社所蔵「太刀 銘 三条」を展示。腰反りが高く踏張りがある優美な太刀姿、精緻な鍛の美しい、三条宗近の典型的な作行を示す非常に完成度の高い作品です。
三条宗近の作は現存作例が少なく大変貴重な作品となります。。
展示品一部紹介
直刀から反りのある日本刀へその変化を留める
正倉院御物の金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんそうからだち)・無荘刀(むそうとう)・黒作横刀(くろづくりたち)などと同じ、鋒が両刃造となるものの、正倉院御物の切刃造(きりはづくり)とは異なり、刀身中央に鎬がくることから、直刀から日本刀(鎬造弯刀)の成立を考えるうえで貴重な資料です。

- 国宝「黒漆平文飾剣(柄欠失)」、平安時代(9~12世紀)、奈良県・春日大社蔵
日本刀成立 初期日本刀の姿
鎬幅(しのぎはば)が広くほぼ中央に寄り、反りは浅く、魳鋒(かますきっさき)。茎は強く反る。刃文は直刃(すぐは)で焼落とすという日本刀最初期の姿を保つ貴重な刀剣二振が展示されます。

- 愛媛県指定文化財「大山祇神社古神宝太刀」 11世紀 愛媛県・大山祇神社蔵

- 国宝「沃懸地獅子文毛抜形太刀、刀身」 12世紀 後期展示(2月1日~3月1日)奈良県・春日大社蔵

- 国宝「沃懸地獅子文毛抜形太刀、拵」 12世紀 後期展示(2月1日~3月1日) 奈良県・春日大社蔵
春日大社宝庫天井裏より発見
戦前に宝庫天井裏から錆びた状態で発見され、平成29年に研磨したことで古伯耆の太刀として存在が確認された太刀。中世の有力武将の奉納と伝わるが奉納者や作者などは不明。

- 重要美術品「太刀無銘(古伯耆伝安綱)」 奈良県・春日大社蔵
安綱をうんだ伯耆国大山(だいせん)山麓の至宝
中国地方最高峰・大山(だいせん)は鳥取県西部、伯耆国の中央に位置し、神仏が鎮まる霊山として信仰されてきました。この山麓では古くから日本古来の製鉄法である「たたら製鉄」で良質な鋼を生産しており、こうした背景をもとに、平安時代には反りのある日本刀の最古級の名匠である安綱がうまれます。安綱を輩出した地元に残る貴重な作品が県外初出品となります。
- [左] 鳥取県指定文化財「刀 無銘(古伯耆)、刀身」 鳥取県・大神山神社蔵
- [右] 鳥取県指定文化財「刀 無銘(古伯耆)、拵」 鳥取県・大神山神社蔵

- 米子市指定「太刀(銘安綱)、刀身」 鳥取県・大神山神社蔵
「最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆展」 開催概要
項目 | 内容 |
---|---|
開催期間 | 2019年12月28日(土)~2020年3月1日(日) ※下記日程で展示替 – 前期:12月28日(土)~1月26日(日) – 後期:2月1日(土)~3月1日(日) |
休館日 | 2020年1月27日(月)~1月31日(金) |
開催場所 | 春日大社国宝殿 〒630-8212 奈良県奈良市春日野町160 |
開館時間 | 10:00~17:00(入館終了16:30) |
拝観料 | 一般1,000(800)円、大学高校生600円、中小学生400円 ※()内は、前売及び20人以上の団体料金。 前売券は10月下旬から、主要プレイガイドで発売予定。 |
お問合せ | 春日大社国宝殿 TEL:0742-22-7788 http://www.kasugataisha.or.jp |
主催 | 春日大社、読売新聞社 |
特別協力 | 鳥取県、名刀「古伯耆物」日本刀顕彰連合 |