特別展「きもの KIMONO」が開幕(東京国立博物館 平成館)
東京国立博物館 平成館にて、特別展「きもの KIMONO」が6月30日(火)より開催されています。同展は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため開幕が延期されていましたが、2020年6月30日(火)~8月23日(日)の期間に会期を変更しての開幕となりました。

編集部では開幕に先立って開催された報道内覧会を取材しました。
- 取材協力:東京国立博物館さま、特別展「きもの KIMONO」広報事務局さま
- 記事中の写真は全て報道内覧会にて編集部撮影(YOSHIKIMONO紹介のセクションは、特別展「きもの KIMONO」提供)。記事中の文章、画像、写真の転載、引用の全てを禁止いたします。
会場レポ
特別展「きもの KIMONO」は鎌倉時代から現代までを通史的に総覧する、かつてない規模のきものの展覧会。東京国立博物館では1973年の特別展「日本の染織」より実に47年ぶりとなる大規模な染織の展覧会となります。
本展では、信長・秀吉・家康・篤姫など歴史上の著名人が着用したきものや、尾形光琳直筆の小袖に加え、きものが描かれた国宝の絵画作品、さらに現代デザイナーによるきものなど約300件の作品を一堂に展示。鎌倉時代から現代までを通史的に総覧します。
会場雑感


- 写真中央:国宝 婦女遊楽図屛風(松浦屛風) 江戸時代・17世紀 展示期間 6月30日(火)~ 7月5日(日) 奈良・大和文華館蔵
- 遊女のみを等身大で描いているという異色の風俗画。

- 写真左側:胴服 染分平絹地雪輪銀杏模様(どうぶく そめわけへいけんじゆきわいちょうもよう) 徳川家康所用 一領 平絹(絹)、絞り、摺箔 安土桃山時代 十六~十七世紀 東京国立博物館 蔵
- 遠目にも目立つ「かぶいた」意匠。徳川家康は相当の洒落者だったことがうかがえます。
- 江戸の火消しは、火消半纏(ひけしばんてん)の上から水を被って火消しに当たり、無事、仕事が終わると半纏を裏返して裏地の勇壮な描絵を自慢気に見せて帰還したといいます。
YOSHIKIの手掛けるきものブランド「YOSHIKIMONO」

X JAPAN のリーダーで世界的アーティストであるYOSHIKIが手掛けるきものブランド「YOSHIKIMONO」が、現代を代表するきもの作品として展示されています。呉服屋の長男として生まれ育ったYOSHIKI がデザイナーを務める「YOSHIKIMONO」は、現代女性や外国人にも似合うきものを目指し、テーマに掲げるのは『伝統と革新の融合』。きものという伝統的な日本の衣装形態を継承し、その美意識を尊重しつつ、現代性をもつコレクションを発信し続けています。また、今年2月からは、英国ロンドン・ヴィクトリア&アルバート博物館の着物展でも、YOSHIKIMONO はアレキサンダー・マックイーンやイヴ・サンローランなど著名デザイナーによる作品と肩を並べて展示されています。
- [写真] 特別展「きもの KIMONO」提供

- YOSHIKIMONO 展示風景 特別展「きもの KIMONO」提供
- 右から 着物「小市松桜」、着物・袋帯「MARVEL」、着物・袋帯「Checkered」、着物・袋帯「変わり市松」、着物「Dahlia」、着物「Mikasa」・袋帯「巨人」、着物「Chain」
YOSHIKIコメント
「デザイナーとして、このブランドを立ち上げて10年以上の月日が経ちました。 現在、海外からのオファーをいただくことも多くなりましたが、このように着物文化発祥の地である日本、
そして、この格式ある東京国立博物館に展示されることを本当に光栄に思っています。 いつも応援してくれているファンの皆さんのおかげだと思っています。 ぜひ、観ていただければ嬉しいです。」
会場内特設ショップ
会場内の特設ショップも非常に充実。ちなみに、リラックマグッズはおひとりさま5個までということです。
充実のアイテム


展覧会みどころ:鎌倉時代から現代までを通覧する、初めての大規模きもの展
音声ガイドナビゲーターは鈴木拡樹さん

本展での音声ガイドナビゲーターは俳優の鈴木拡樹さんが担当。鈴木さんは「映画刀剣乱舞―継承―」、劇団☆新感線 「髑髏城の七人」Season 月、舞台「刀剣乱舞」シリーズ、舞台 No.9-不滅の旋律-」など、舞台を中心に、映画やTVなど幅広く活躍されている方。さまざまな作品できものを着る機会も多く、きものの魅力をたっぷりと語ります。
光琳「冬木小袖」が登場。
尾形光琳が江戸での寄宿先である深川の材木商・冬木家の奥方のために描いたと伝えられます。当時、裕福な女性たちの間で有名な絵師に描かせた小袖が流行していました。

- 重要文化財 小袖 白綾地秋草模様 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
歴史上の著名人の衣装も多数。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が着用したと伝えられる衣装なども展示。さらには天璋院篤姫の衣装なども!写真は織田信長の陣羽織。

- 陣羽織 黒鳥毛揚羽蝶模様 織田信長所用 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館蔵
展覧会の構成と作品紹介
1章 モードの誕生

- 国宝 婦女遊楽図屛風(松浦屛風) 江戸時代・17世紀 展示期間 6月30日(火)~ 7月5日(日) 奈良・大和文華館蔵
室町時代から江戸時代初期にかけて描かれた女性の肖像画や風俗図屏風、また安土桃山時代の小袖の数々を通じ、当時の華やかなファッションを再現。

- 重要文化財 縫箔 白練緯地四季草花四替模様 安土桃山時代・16世紀 前期展示6月30日(火)~7月26日(日) 京都国立博物館蔵
2章 京モード 江戸モード
徳川秀忠の娘・和子が入内すると、京都に映ったファーストレディのファッションに注目が集まり、きものの流行が京都から発信されるようになります。その一方で、モードを牽引する島原や吉原の遊女、江戸時代中期には、著名な絵師によって模様が描かれた小袖、さらには浮世絵の流行がファッションに影響をあたえる等、さまざまな動きがありました。京と江戸を中心に発信される、めくるめく流行の変遷を紹介します。

- 重要文化財 小袖 黒綸子地波鴛鴦模様 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵

- 重要文化財 振袖 紅紋縮緬地束熨斗模様 江戸時代・18世紀 前期展示6月30日(火)~7月26日(日) 京都・友禅史会蔵

- 見返り美人図 菱川師宣筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵
3章 男の美学
この章では少し視点を変え、男性のきものを紹介。戦国武将の衣装をはじめ、刺青のような勇壮な模様の入った火消し半纏などが展示されます。

- 重要文化財 振袖 白縮緬地衝立梅樹鷹模様 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
4章 モダニズムきもの
文明開化のあとには、アール・デコ調のデザインなど、ヨーロッパのモードに連動した模様のきものも登場します。

- 振袖 淡紅綸子地宮殿模様 昭和時代・20世紀 千葉・国立歴史民俗博物館蔵
5章 KIMONOの現在(いま)
岡本太郎や、人間国宝の制作する現代に「きもの」の多様な展開が紹介されます。

- 友禅訪問着 白地位相割付文 「実り」 森口邦彦作 平成25年(2013) 前期展示6月30日(火)~7月26日(日) 東京・株式会社三越伊勢丹蔵

- TAROきもの 岡本太郎原案 昭和49年頃(1974頃) 東京・岡本太郎記念館蔵 撮影:堤 勝雄
特別展「きもの KIMONO」 開催概要
本展では事前予約制(日時指定券)が導入されます。これに伴い、オンラインでの「日時指定券」の予約が必要となりますのでご注意ください。詳細については公式サイトを必ずご確認ください。
- 開催期間:2020年6月30日(火)~8月23日(日)
- [前期展示]6月30日(火)~7月26日(日)
- [後期展示]7月28日(火)~8月23日(日)
- 開催場所:東京国立博物館平成館
- 開館時間:午前9時30分~午後6時 ※総合文化展は午後5時まで
-休館日:月曜日、8月11日[火](8月10日[月・祝]は開館) - お問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト
観覧料金、その他詳細については公式サイトを必ずご確認ください。