※会期終了にともない、一部画像の掲載を終了しました。
京都国立博物館 18年秋に特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」開催
京都国立博物館では春の特別展「池大雅 天衣無縫の旅の画家」(2018年4月7日より)に続きもう一つの目玉と言える特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」を2018年秋に開催します。
特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」
- 2018年9月29日(土)より11月25日(日)
- 会場:京都国立博物館 平成知新館
- 開館時間:9時30分〜18時
— (金土曜日は20時まで)
— 入館は閉館時間の30分前まで
— 休館日は月曜日、10/8(月祝)は開館、翌10/9(火)は休館 - 観覧料:一般1500円、大学生1200円、高校生700円(当日券の場合)
- 主催:京都国立博物館、読売新聞社、NHK京都放送局、NHKプラネット近畿
先のエントリにて、記者発表会の様子をお伝えしましたが、この記事ではさらに詳しく特別展「京のかたな」についてご紹介したいと思います。
展覧会の趣旨とみどころ
王城の地、京都では、平安時代から現代に至るまで多くの刀工が工房を構え、数多の名刀を生み出してきました。これら京都で製作された刀剣は、常に日本刀最上位の格式を誇り、公家、武家を問わず珍重され、とりわけ江戸時代以降は武家の表道具として、大名間の贈答品として取り扱われてきました。
本展では、現存する京都 山城系鍛冶の作品のうち、国宝指定作品のほぼ全てと、著名刀工の代表作を中心に展示し、平安時代から平成に至る山城鍛冶の技術系譜と日本文化に与えた影響を探ります。(プレス用資料より)
京都国立博物館初の本格的な刀剣に関する特別展
恩賜京都博物館時代の「山城物刀剱特別展観」(1943年10月)から実に75年ぶり、国内的にも東京国立博物館での特別展「日本のかたな 鉄のわざと武のこころ」(1997年)から21年ぶりという、京都国立博物館120年の歴史上、初めての本格的な刀剣についての特別展です。
平安時代から平成までの山城刀鍛冶の歴史を総括
京都=山城系刀剣の国宝19点のほぼ全てが出品され、山城鍛治の技術の系譜を網羅します。
王貞治氏の刀も!
出品総点数は絵画作品も含めると200点弱という、これまでにない規模で、さらにあの王貞治氏佩用の刀剣も出品されます。
刀剣乱舞のあの刀にも会える!
記者発表会にて、昨今の刀剣ブーム、つまり「刀剣乱舞」について言及がなされました(!)キャラ化されている物(のもとになった刀剣)も出品できるように調整中で、最大規模で展示できる見込みで進めているということです。これはファンにもうれしいですねー。
展示の詳細を一部先行でご紹介
全体は8章構成からなり、平安時代から平成までの山城刀鍛冶の歴史を総括する形の展示となります。先行公開の画像も交えてご紹介していきます!
1章 京のかたなの誕生(平安時代)
刀剣の世界には文字資料が少なく、日本刀様式の刀剣がいつ発生したのか今だに特定されていません。しかし武士の台頭ともに、京都においては山城鍛冶の祖たる三条宗近とその一派が登場し、以後800年の永きに渡る山城鍛冶の物語が始まります。
2章 京のかたなと後鳥羽天皇(鎌倉時代前期)
1185年、壇ノ浦の戦いで安徳天皇が入水し、三種の神器である草薙剣も失われてしまい、第八十二代天皇·後鳥羽天皇は三種の神器を欠いたまま、即位式に臨むことになります。そしてこの史実は、失われた宝剣を求めて自らが作刀する天皇とその御召鍛冶という伝説を生み、「君御手づから焼せ給けり」とされる刀身に菊の御紋を刻んだ菊御作が造られるきっかけとなります。
3章 京のかたなと吉光(鎌倉時代中期)
13世紀初頭頃から京都·粟田口周辺に居住した刀工群、粟田口派。なかでも希代の名工、吉光は山城鍛冶の一つの到達者であり、神妙無類の地鉄はここに極まり、その品位の高さは後に豊臣秀吉をして天下三作の筆頭と言わしめます。この章では粟田口派の代表工全員の作品と吉光の傑作が展示されます。
4章 京のかたなの興隆(鎌倉時代後期)
13世紀の中頃から登場した来派の門脈は地方の京文化や技術の伝達・派生という面で粟田口派以上の影響を与えます。来派本流の著名作のみならず地方展開したその門流の名品とともに、山城鍛冶の隆盛と彼らが地方に与えた影響も紹介されます。
5章 京のかたなの苦難(南北朝〜室町時代中期)
鎌倉場幕府崩壊とそれに続く混乱の中、備前鍛冶や美濃鍛冶といった他国の刀剣に押され衰退を余儀なくされていく山城鍛冶。そんな中で、従来までの山城風の作風とは異なる相州風の表現を取り入れて新境地を模索した長谷部派、信国派など、これまであまり語られることのなかった苦境の時代を生き抜いた山城鍛冶の作品が紹介されます。
6章 京のかたなの復興(室町時代後期〜桃山時代)
新刀鍛冶の祖と呼ばれる不世出の名人、埋忠明寿が「水挫し法」という新たな鍛造技法を考案し、後に鎌田魚妙がその著作に「慶長以来」と名付けた「新刀」時代の幕開けとなります。この章では、豪壮華麗な桃山文化の体現者たる埋忠派、堀川派、三品派の名品の数々が展示されます。
7章 京のかたなの展開(桃山時代〜江戸時代前期)
新たに興った埋忠派·堀川派·三品派。いわば最先端のモードであるこれら新刀鍛冶の妙技はやがて新刀の完成形である大阪新刀へと到達します。この章では鎌倉時代に続く刀剣文化の絶頂期である桃山時代から江戸時代前期にかけての時期の、大阪新刀の巨匠達を中心に新刀の名品中の名品が紹介されます。
8章 京のかたなと人々(江戸時代中期〜現代)
この章では最後の山城鍛冶にして人間国宝・隅谷正峯に言及し、平安時代から平成までの山城刀鍛冶の歴史を総括します。
特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」
– 2018年9月29日(土)より11月25日(日)
– 会場:京都国立博物館 平成知新館