箱根・芦ノ湖畔、由緒ある「ツツジ・シャクナゲ庭園」で知られる“小田急 山のホテル”は今年開業75周年を迎えます。昨年3月に「庭園のツツジ」が「日本植物園協会ナショナルコレクション第10号」に認定されたのに続き、今年2023年3月17日には、シャクナゲも「日本植物園協会ナショナルコレクション第15号」に認定されました。

小田急 山のホテルでは4月下旬から「つつじ・しゃくなげフェア2023」を開催し、「後世に残すべき植物遺産」と認定を受けた庭園を一般観光客にも開放、さらに今年はホテル開業75周年を記念した写真展や講演会などのイベントも実施されるということです。
関連動画
こちらは昨年のつつじ・しゃくなげフェアの取材動画。
ツツジに続き「小田急山のホテル 庭園のシャクナゲ」が、2023年3月17日にナショナルコレクションに認定
「ナショナルコレクション認定制度」は、秋篠宮皇嗣殿下が総裁をお務めになる公益社団法人 日本植物園協会が2017年に創設した制度。「野生種、栽培種に関わらず、日本で栽培されている文化財、遺伝資源として貴重な植物を守り後世に伝えていく」ことを目的とした植物コレクションの認定、保全の制度です。


「小田急山のホテル 庭園のツツジ」は、江戸時代に作出された他所ではほとんど見られない30の古品種を含む84種類約3,000株。大刈り込みされたツツジは樹高3m以上の大きさに成長している株もあります。2022年に神奈川県内では初めて、周囲の景観とともに次世代に残すべき価値あるコレクションとしてナショナルコレクションに認定されました。

2023年3月17日、庭園のシャクナゲも認定に

今年2023年3月17日にはツツジに続き、「小田急山のホテル 庭園のシャクナゲ」が「日本植物園協会ナショナルコレクション第15号」として認定を受けました。シャクナゲ園には、日本に最初に導入された西洋シャクナゲ、ゴーマー・ウォータラーの元株をはじめ、江戸時代末期から明治時代に海外で作出された貴重な品種9種類や、環境省の絶滅危惧種に選定されている野生種キョウマルシャクナゲやホソバシャクナゲなど、42種類約300株が保存されています。

明治から大正時代に造られた日本で最初のシャクナゲ園であり、種類および庭園的価値も高いことが認定の理由となったということです。
山のホテル庭園プロジェクト「男爵の100年ツツジ 100年先への挑戦」の取り組み

小田急 山のホテルの庭園は、かつて三菱四代目社長・岩崎小彌太男爵別邸(1911年竣工)の庭園でした。今では人の背を越す高さの玉仕立てのツツジや、日本に最初に輸入された西洋シャクナゲの「ゴーマー・ウォータラー」等、大半が樹齢100年以上に。ホテルでは専任のガーデンスタッフが大切に手入れを続けてきました。
そんな庭園の価値を改めて見直すきっかけになったのが、2014年の記録的な大雪でした。雪に埋もれたツツジを助けようと、ホテルスタッフ総出で雪かき。改めて「庭園はホテルの誇り」と再確認すると同時に、これまでと同じ手入れだけでは、貴重な庭園が年老いていくことに危機感を抱き始めたそうです。

由緒ある庭園の維持・再生を目的に、2015年より10か年計画で立ち上がった、山のホテル庭園プロジェクト「男爵の100年ツツジ 100年先への挑戦」では、3つの取り組みが実施されてきました。
- ツツジ・シャクナゲの研究者・倉重祐二氏による「品種調査」を実施。すべての株の植栽台帳を作成して、品種名や生育状況等を管理。
- 現在庭園にあるツツジの希少品種保存のため、新潟の花卉農家の協力を得て「苗木育成」を実施。
- 長期的な視野に立ち、ツツジやシャクナゲが育ちやすい環境に整える「土壌改良」に着手。
貴重品種を数多く含むツツジ84品種、シャクナゲ約42品種の存在が明らかに

品種調査を行う中で、ツツジは84品種約3000株、シャクナゲは、約42品種300株の存在が確認されているそうです。品種の多さもさることながら、他所ではほぼ栽培例のない希少品種、古品種など、貴重な品種も数多く見つかっています。

ツツジでは「紫麾(むらさきざい)」「鳳凰殿(ほうおうでん)」、シャクナゲでは「ゴーマー・ウォータラー」「キョウマルシャクナゲ」等、これだけの内容のツツジとシャクナゲが一か所で保存され、見ごたえのある造園美を楽しめる庭園は全国的にも珍しく、研究者・倉重祐二氏からも、我が国を代表する「園芸文化遺産」と評価を受けました。
プロジェクトは現在も進行中で、新潟で増やしている苗木も育ち、一部はすでにホテル庭園に定植済みということです。
山のホテルの庭園のツツジ、シャクナゲの見頃の時期は?
ツツジの開花状況にあわせ4月下旬~5月下旬の期間には、「つつじ・しゃくなげフェア 2023」が開催されます。花の見頃は、ツツジが5月上旬~中旬、シャクナゲは5月上旬~下旬頃。開花状況により、開催期間が変更となる場合があリます。最新情報についてはお出かけ前に公式サイトを必ずご確認下さい。
芦ノ湖を一望。ホテル直営のデザートレストランもオススメ。
編集部も昨年の取材時に立ち寄り、目の前を通りすぎる箱根海賊船に感動。編集長個人的にもオススメ!山のホテルの目の前、芦ノ湖畔にたたずむホテル直営のデザートレストラン“プレミアムショ
ップ&サロン・ド・テ ロザージュ”では、ツツジの開花に合わせて期間限定デザート「ほ
ころび~HOKOROBI~」が登場します。

庭園のツツジが綻び始める様子をイメージし、またツツジのデザートの可愛さや美味しさに思わず笑顔がほころぶような気持ちになって欲しいという想いをかけた華やかなデザート。透明感のあるベリーのチュイルをツツジの花に見立て、ロザージュオリジナルの「ツツジティー」を使ったムースの上に美しくあしらいました。ツツジ庭園・シャクナゲ園の散策後のおすすめスポットとして、優雅なティータイムを愉しめます。「ほころび~HOKOROBI~」の提供期間は2023年5月1日(月)から31日(水)まで。

単品 1,700円、ティーセットは2,500円(ポットサービス)
※消費税・サービス料込。
リソース
- 記事ご協力:「小田急 山のホテル「つつじ・しゃくなげフェア2023」PR 事務局」PR事務局さま、小田急山のホテルさまプレスリリース
「つつじ・しゃくなげフェア 2023」開催概要
※開花状況により、開催期間が変更となる場合があリます。最新情報についてはお出かけ前に公式サイトを必ずご確認下さい。
- 開催期間:2023年4月下旬~5月下旬
- ツツジの開花状況により、開催期間が変更となる場合アリ
- 庭園見学時間:9:00~17:00
- 庭園見学料:1,000円(ツツジ開花中のみ)※小学生以下無料
- 花の見頃:ツツジ:5月上旬~中旬 シャクナゲ:5月上旬~下旬
- 特設売店:ツツジ・シャクナゲなどの苗木を販売

山のホテル開業75周年記念イベント情報
イベント情報の詳細は公式サイトをご覧ください。

- 「ホテル開業75周年記念 遠藤桂 写真展~ 悠久の富士・箱根~」
- 「箱根写真美術館・遠藤桂館長による写真の撮り方セミナー」開催
- 「ホテル開業75周年記念特別講演 後世に残すべき植物遺産 ナショナルコレクション認定 庭園のツツジとシャクナゲ」開催
小田急 山のホテルの公式サイト
「つつじ・しゃくなげフェア 2023」の公式ページ
https://www.hakone-hoteldeyama.jp/tsutsuji_shakunage/
Amazon
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こちらは2022年の取材記事。箱根元港から無料送迎バスを使ってエントリーするなどアクセスについての言及があったり、写真多数で昨年のフェアを全力紹介しています。そういえば、この記事から完全ミラーレスに移行したんだっけ。