令和2年度夏季展 財団設立70周年記念「翁―大名細川家の能の世界―」
2020年7月23日(木)より、永青文庫にて(東京都文京区)「翁―大名細川家の能の世界―」が開催されます。南北朝時代に遡る700年の歴史を有し、江戸時代には肥後熊本54万石を治めた大名、細川家。永青文庫は、細川家に伝えられた国宝・重要文化財を含む9万点以上の文化財を所蔵しており、本展は財団設立70周年を記念した展覧会となります。
- リソース:「翁展」広報事務局さま
展覧会見どころと作品の紹介
展覧会は4章構成で、大名家の能楽コレクションを紹介します。
「1章 翁とは」
「翁」は、天下泰平・国土安穏・延命長寿・五穀豊穣を祈念して舞う、神聖で特別な演目。細川家においてもたびたび演じられ、永青文庫には「翁」に関わる細川家伝来の翁面や装束が揃って残されています。
- [左] 重要美術品「翁(白色尉)」 「日光作/満昆(花押)」金泥極 室町時代(15世紀)、 永青文庫蔵、前期展示
- [右] 「三番叟(黒色尉)」 室町時代(16世紀)、永青文庫蔵(熊本県立美術館寄託)、後期展示

- 「縹地蜀江模様袷狩衣」 江戸時代(18世紀後半~19世紀前半)、永青文庫蔵、通期展示
「2章 細川家の能装束」
- [左] 「金地蝶撫子模様唐織」 江戸時代(19世紀前半)、永青文庫蔵、前期展示
- [右] 「薄黄紅縹白段桐藤杜若模様縫箔」 江戸時代(18世紀)、永青文庫蔵、前期展示
永青文庫には、細川家伝来の装束が500点近く保管され、江戸時代から近代にかけて高度な染織技術により作られた豪華絢爛な作品が多く見られます。細川家の膨大な装束類の中から、選りすぐりの作品を紹介します。
「3章 細川家の能面」
- [左] 「小面」 「天下一近江」焼印」 江戸時代(17~18世紀)、永青文庫蔵、前期展示
- [右] 重要美術品「般若」 伝 般若坊作 室町時代(16世紀)、永青文庫蔵、後期展示
永青文庫には、細川家伝来の能狂言面が163面確認され、演能に必要なほとんどの種類を網羅しています。大名家伝来の能狂言面は多くが散逸してしまっていますが、永青文庫では極めて貴重な質と量を保っています。
「4 章 細川家と能」
- [左] 「丹後細川能番組(古来番附)」 桃山時代(16世紀)成立、享保7年(1722)書写・永青文庫蔵(熊本大学附属図書館寄託)、通期展示
- [右] 「牡丹蒔絵太鼓胴」 江戸時代(19世紀)、永青文庫蔵、通期展示
初代細川藤孝(ふじたか)(幽斎<ゆうさい>、1534~1610)から現在に至るまで、細川家は能楽に深く関わりました。藤孝とその息子・忠興(ただおき)(三斎<さんさい>、1563~1645)の出演記録など貴重な史料も展示します。
細川家と永青文庫
永青文庫は、肥後熊本54万石を治めた細川家に伝わる美術工芸品や歴史資料、また設立者である16代細川護立(1883~1970)の蒐集品を保存・研究するため昭和25年(1950)に設立され、今年、財団設立70周年を迎えます。
細川家700年の長きにわたる歴史資料や伝来品、さらに護立が蒐集した所蔵品は、国宝8件、重要文化財34件を含んで9万4000点にものぼります。その種類は細川家代々の武器・武具、染織品、書画、陶器、漆器、彫刻などの美術工芸品や古文書類、近代日本画など多岐にわたっています。本展に関わる能楽関連の所蔵品は、能面・能装束・楽器・小道具や古文書など約900点以上にのぼります。
開催概要
- 展覧会名:令和2年度夏季展 財団設立70周年記念「翁―大名細川家の能の世界―」
- 会期:2020年7月23日(木・祝)~8月30日(日) ※会期中、一部展示替えあり
- 前期7月23日(木・祝)~8月10日(月・祝) 後期8月12日(水)~8月30日(日)
- 会場:永青文庫(東京都文京区目白台1-1-1)
- 開館時間:10:00~16:30 ※入館は16:00まで
- 休館日:月曜日 ※8/10は開館、8/11は休館
- 入館料:一般1000円、シニア(70歳以上)800円、大学・高校生500円 ※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者(1名)は無料。