[チャップリンも天ぷらに舌鼓]百段階段STORY展 雅叙園創業時からのエピソードともに巡る特別企画[会場レポ](会期終了)

2019年5月31日

投稿:ミュージアムズ編集部
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ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」特別企画 百段階段STORY展 ~昭和の竜宮城へタイムクルージング~ 6月1日より開催

ホテル雅叙園東京(旧 目黒雅叙園)は2018年12月に創業90周年を迎えた日本美のミュージアムホテル。同ホテルは料亭として創業、創業者の細川力蔵は「訪れるものが本物に酔いしれ、夢見心地になる空間を作りたい」と当時の芸術家を数多く招き、絢爛豪華な館をつくり上げ、『昭和の竜宮城』と称されるまでになりました。その象徴的な建物である「百段階段(旧三号館)」は、国の登録有形文化財を経て2009年(平成21年)に東京都の有形文化財に指定されています。また、創業者が行っていたように、日本大学芸術学部の協力のもと、 未来を担う若き芸術家へ発表の場を設ける「未来へつなぐアート展」も同時開催されます。

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  • 「漁樵の間」 編集部撮影

今回は文化的美術的価値のある空間を創業時より語り継がれてきたエピソードとともに巡る特別企画展。当時の婚礼や宴会の再現展示等、雅叙園と百段階段の歴史と、今も息づく創業者・細川力蔵(1889-1945)の心意気を肌で感じられる展示となっています。

「百段階段」

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1935年(昭和10年)に建てられた、ホテル雅叙園東京に現存する唯一の木造建築で、創業当時の風景をいまに伝える場所でもあります。近年は数々の企画展の舞台となっており、日本画の大家である鏑木清方(かぶらき きよかた)や荒木十畝(あらき じっぽ)をはじめ、当時の著名な芸術家たちがつくりあげた彫刻・建築・工芸など、まさに “美術の殿堂” と呼べる場所となっています。

エレベーターホールには打掛

エレベーターホールには、旧目黒雅叙園の美術工芸品をモチーフに製作された色打掛がお出迎え。

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色打掛「黒地 白孔雀」「青地 青々末に鶴」
ホテル雅叙園東京 ドレスギャラリー所蔵
編集部撮影

お客様は「お大尽」!?

「十畝の間」では雅叙園の成り立ちと、創業者の細川力蔵の紹介が。

1912年に23歳の若さで浴場の経営者となった細川力蔵は1928年に前身となる芝浦雅叙園を、そして1931年には目黒雅叙園をオープンします。創業者が目指したものは、それまでは上流階級のものだった料亭の大衆化でした。

廊下、欄間から天井まで絵画で埋め尽くされた夢のような空間で、お客様に「お大尽気分」を味わってもらうために、化粧室までが徹底的に装飾されました。それは、ただ豪華なだけではなく、お客様が夢からさめないための工夫でした。

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「十畝の間」編集部撮影

廊下から欄間、天井と、絵で埋め尽くされていた当時の雅叙園ですが、高い方が気分良く食事をしてもらえる、天井を高くすると欄間も広くなる、ならば絵を入れよう、という発想だったそうです。

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「十畝の間」編集部撮影

1920年代の世界恐慌の時代、仕事がなくなった画家達に活躍の場を与え、庇護するとともに、多くの作品を買い占めた力蔵ですが、芸術好きのパトロンとは少し立場が違っていたようで、力蔵の目はあくまでもお客様に注がれていたようです。当時300メートルもあった長い廊下に絵、それも、文展や定展に入選した絵を飾ればお客様も喜ぶだろうと考え、入選作品を大量に購入したそうです。結果として目黒雅叙園は近代日本画の宝庫となっていきます。

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「漁樵の間」編集部撮影

チャップリンも天ぷらに舌鼓!

昔の料亭ではメニューに値段がないのが普通でしたが、雅叙園はメニューに料金が明示される明朗会計システムを導入。「豪華に飾られた場所でおいしいお料理を、安価に明朗会計で食べられる」というモットーは非常に人気を呼び、最盛期は1日に8千人もの盛況だったそうで、昭和15年には喜劇王・チャップリンも目黒雅叙園で天ぷらを食したという記録も残っています。

写真の「静水の間」では当時の料理風景が再現されており、昭和初期の人気メニュー「鯉の丸揚げ」(現在では提供されていないそうです)風の展示もありました。また、当時の雰囲気を再現したいということで、

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「静水の間」 編集部撮影

障子の向こうをお客さんや女中さん達が通り過ぎる、遊び心あふれる影絵も上映。

なんと22万組が挙式!

「星光の間」では総合結婚式場の先がけとしての雅叙園について紹介されています。昭和初期、結婚式は神社で、披露宴は料理やホテルに移動して行われていましたが、創業者はこれらを一箇所で集約して行えば、時間も費用も節約できると考えました。そこで出雲大社の御霊を祀った神殿を作り、直営の写場、美容室、衣装室を設けた一貫システムを作りました。

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「星光の間」編集部撮影

昭和11年には1日で116組もの結婚式が行われ、今日までの累計はなんと22万組とのことです。

雅叙園ゆかりのお菓子も 期間限定茶房

会期中、「草丘の間」に期間限定の茶房がオープン。1717創業の日本茶専門店-京都・一保堂茶舗製の「宇治清水」を使った豆乳抹茶ラテとお菓子のセットで1名1,000円(税サ別)。お菓子は、最中とどら焼きから選べます。

旧目黒雅叙園の和菓子部出身の職人が作る「雅最中」と、人気店・浅草むぎとろの、もっちりとした食感の「とろどら」、どちらにするか、迷いますね。同時開催の「未来へ繋ぐアート展」も楽しみつつどうぞ。

全時間撮影OK

年間を通してさまざまな企画展の舞台となっている「百段階段」の本来の姿を堪能でき、全時間帯写真撮影可能です。※三脚・フラッシュ撮影・商業撮影NG。

なお、本記事については「編集部撮影」とあるものは報道向け内覧会にて編集部が撮影した写真で、それ以外のものはホテル雅叙園東京さまのプレスリリース用画像を使用しています。

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編集部撮影 「十畝の間」

開催概要

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百段階段の50段目から階下をのぞむこの踊り場より階段が曲がるのは、100段もあると降りる時に足がすくむのを防止するため。 編集部撮影
開催期間2019年6月1日(土)~6月23日(日) ※会期中無休
開催時間日~木曜日10:00~17:00(最終入館16:30)
金・土曜日10:00~20:00(最終入館19:30)
※全時間帯写真撮影可能(三脚・フラッシュ撮影・商業撮影NG)
入場料当日1,600円、前売1,300円、
特別前売1,100円 ※5月31日まで
※館内(16:30まで)及び公式オンラインチケット
大学生 1,200円※要学生証呈示 / 高校生以下無料
会場ホテル雅叙園東京内 東京都指定有形文化財「百段階段」
お問合せ03-5434-3140 (イベント企画10:00~18:00)
主催ホテル雅叙園東京
後援目黒区・一般社団法人めぐろ観光まちづくり協会
協力日本大学芸術学部
販売窓口【店頭】ホテル雅叙園東京
ローソンチケット(Lコード:35191)、
セブンチケット(セブンコード:075578) 、
JTB各店・JTBレジャーチケット
(セブンイレブン、ローソン、
 ファミリーマート、サークルKサンクス)
【インターネット】イープラス、楽天
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