特別展南山城

特別展「 京都・南山城（みなみやましろ）の仏像」が９月16日(土)に開幕しました。会場は東京国立博物館 本館特別５室。 展示風景：編集部撮影 本展は京都・南山城（みなみやましろ）地域に伝わる仏像を紹介するもので、南山城地域の仏像の特色と同時に、平安時代の仏像の変遷をもたどれる展覧会となります。展示作品は国宝３件、重要文化財12件を含む全18件。本記事では開幕に先だって開催された報道内覧会取材から、会場の展示のようすと本展の見どころをご紹介。後日公開予定の動画会場レポートとあわせてご覧ください。 展覧会名：浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」 会期：2023年9月16日（土）～11月12日（日） 会場：東京国立博物館 本館特別５室 ※会期中、一部作品の展示替えを行います。 動画記事 https://youtu.be/ZKDt4ooYlKk 展覧会みどころと会場の様子 京都府最南部の風光明媚な地域・南山城（みなみやましろ）。京都と奈良の中間に位置するこの地域は、独自の仏教文化が栄え、奈良時代から平安時代にかけて創建された古刹が点在しています。 会場入口：浄瑠璃寺 本堂のパネル展示 編集部撮影 平安時代には、貴族たちが極楽往生を願い、九体阿弥陀（9体の阿弥陀如来像）を阿弥陀堂に安置することが流行しました。浄瑠璃寺には当時の彫像・堂宇が唯一現存しており、九体寺とも呼ばれています。平安時代初期の名作である海住山寺（かいじゅうせんじ）十一面観音菩薩立像、その後の時代の和様の特徴が見られる禅定寺の十一面観音菩薩立像など、南山城には各時代の特色を反映した仏像が伝わっています。このことは、この地が絶え間なく信仰の場であったことの証しといえるでしょう。本展は浄瑠璃寺の九体阿弥陀の修理完成を記念した特別展。南山城に伝わる仏像の歴史や文化の奥深さをたどる貴重な機会となります。 南山城の特色をもつ、平安時代の仏像の代表作が勢ぞろい！ 重要文化財 十一面観音菩薩立像 平安時代 9世紀 京都・海住山寺編集部撮影 京都と奈良の中間に位置していた南山城地域。本展の出品作を通じて、およそ400年におよぶ平安時代彫刻の変遷を概観できます。例えば９世紀の海住山寺の十一面観音菩薩立像は唐の影響を大きく受けており、はっきりとした彫り口が特徴。しかし、10世紀には日本風の仏像、「和様」へと移り変わって行くこととなり、禅定寺の十一面観音菩薩立像は、柔らかな浅い彫り方で柔らかな衣の表現するなど、日本風の優しい表情が特色となっています。さらに11～12世紀には平安時代の貴族文化が最盛期をむかえ、大ぶりの植物の文様が描かれるなど、華やかで優雅な文化が南山城の仏像にも反映されます。 浄瑠璃寺九体阿弥陀 明治期以来およそ110年ぶりの修理完成記念 国宝 阿弥陀如来像坐像（九体阿弥陀のうち） 平安時代 12世紀 京都・浄瑠璃寺編集部撮影 何百年も前に作られた仏像が長い時間を経て今に伝わるのは、それを守ろうとする人々の意志のもと、繰り返し修理が行なわれてきたためです。浄瑠璃寺の九体阿弥陀は、2018年から約５年をかけて、およそ110年ぶりに大規模な修理が行われました。九体阿弥陀とは、９段階の極楽往生になぞらえた９体の阿弥陀如来像で、平安時代に貴族の間で流行したものです。現存するのは浄瑠璃だけという貴重な仏像のうち1体を実際に会場で鑑賞することが出来ます。 鎌倉時代の作品にも注目ー南山城のさまざまな仏像 重要文化財 阿弥陀如来立像 行快作鎌倉時代 嘉禄3年（1227) 京都・極楽寺編集部撮影 極楽寺の阿弥陀如来像のように、南山城には鎌倉時代の仏像も伝わっています。この時代は平安時代の仏像とは異なり、写実的、リアルな作品が好まれました。 重要文化財 千手観音菩薩立像平安時代 12世紀 京都・寿宝寺編集部撮影 寿宝寺の千手観音菩薩立像。腕を42本に省略することが多い千手観音菩薩像ですが、本作は千本に迫る多数の手で表現されています。東京国立博物館の担当者さんによると、東京へのおでましのための輸送も非常に大変だったそうです。 怖い？怖くない？ユーモラスな不動明王。神童寺の不動明王は、恐ろしさというより、ちょっと可愛らしさもある仏像です。膝頭までたくし上げた衣など天台宗の影響も見られるなど、仏像史から見ても貴重な作品ということです。 重要文化財 不動明王立像平安時代 12世紀 京都・神童寺編集部撮影 動画記事 https://youtu.be/ZKDt4ooYlKk リソース 記事中の画像と動画は全て報道内覧会にて編集部が撮影 取材ご協力：東京国立博物館さま、特別展「京都・南山城の仏像」広報事務局さま 開催概要 チケット情報他、最新の情報については公式サイトをご確認ください。 展覧会名：浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」 2023年9月16日（土）～11月12日（日） 休館日：月曜日（ただし、9月18日、10月9日は開館）、9月19日（火）、10月10日（火） 展覧会公式サイト：https://yamashiro-tokyo.exhn.jp/ 東京国立博物館 本館特別５室 ※会期中、一部作品の展示替えを行います。

仏像好き必見！「怖くない」不動明王も 特別展「京都・南山城の仏像」会場レポ

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