寺田倉庫の現代アートのコレクターズミュージアム「WHAT」を取材

寺田倉庫株式会社(品川区)による現代アートのコレクターズミュージアム「WHAT(ワット)」が2020年12月12日(土)に天王洲アイルにオープンしました。
これは、寺田倉庫の美術品保管サービスを利用しているコレクターの作品を広めることで、その芸術的価値を高めることを目的とした芸術文化発信施設。文化庁および観光庁を主体とした 「文化観光推進法」 に基づいた文化観光拠点施設として、民間企業初の計画認定を受けています。編集部ではオープン前日に開催された報道内覧会を取材してきました。
- 取材ご協力:寺田倉庫株式会社さま
- 記事中の写真は全て編集部による撮影
「倉庫会社としての概念を打ち砕くチャレンジ」
倉庫会社ならではの視点で 「美術施設の在り方」 を模索し、たどりついたのは倉庫に眠る作品を開放し、日本を代表するコレクターが自らの価値基準で収集した作品との出会いを創出するアート展示施設でした。これは従来の倉庫会社の概念を打ち砕くチャレンジであるといえます。
「WHAT(WAREHOUSE OF ART TERRADA)」という施設名称には「倉庫を開放、普段見られないアートを覗き見する」という想いが込められているということです。現代アートの見方は、「わかる・わからない」ではなく「どのように感じるか」なので、来館者それぞれの感情を揺さぶるような作品との出会いを作り上げたいとの説明も。
こけら落としは「解き放たれたコレクション展」「謳う建築」が開催
オープンの12日から開催される展覧会は「謳う建築」「解き放たれたコレクション展」の2本。
「謳う建築」

「謳う建築」は15人の文芸家と15人の建築家によるコラボレーションで、住まいと向き合い続けた建築家が生み出した住空間を、文芸家や詩人が実際に訪問、詩で謳うというもの。谷川俊太郎氏の住宅なども紹介されていました。
会場内は建築模型や図面とともに詩のパネルが展示され、言葉に集中して鑑賞が出来るように落ち着いた雰囲気になっています。コロナ禍の中であたらめて一番身近に感じるものである「おうち」を言葉によりあらたな角度から感じることができます。

- 「謳う建築」
- 2020年12月12日~2021年05月30日
「解き放たれたコレクション展」

一階と二階にわたって展開されるのは「解き放たれたコレクション展」。高橋龍太郎氏とA氏の2名の現代アートコレクターのコレクションを新作や初展示作品を含む70点が展示されます。(会期中展示入替あり)
高橋龍太郎コレクションはWHATの描き初めということで「描き初め」をテーマに若い作家たちの作品に焦点を、また、A氏コレクションは2000年前後の奈良美智作品を中心に紹介されます。
通常の美術展と異なり、個々の作品とコレクターとの関係性にもフォーカスが置かれており、WHATのコンセプト通り、現代アートシーンで活躍する作家の作品とともにコレクターの「思い」も展示されているという印象があります。また、コレクター本人による解説も用意されてました。


- 「―INSIDE THE COLLECTOR’S VAULT, VOL.1― 解き放たれたコレクション展」
- 会期 2020年12月12日~2021年05月30日
天王洲アイルエリアで1日たっぷりアートに浸れる
2016年より保管・展示を行ってきた「WHAT」の先駆けである建築倉庫ミュージアムは、「建築倉庫プロジェクト」と名称を改め、同施設内で継続して建築に纏わる展覧会を開催します。この建築模型倉庫見学はオプションで別途料金(500円)となりますが、2つの展覧会を鑑賞、さらにすぐ近くにあるアートカフェ「WHAT CAFE」などに立ち寄ると、天王洲アイルエリアだけでほとんど1日アートに浸ることができます。

- WHAT CAFE https://cafe.warehouseofart.org
WHAT(ワット) 施設概要
- 住所:東京都品川区東品川2-6-10
- アクセス:りんかい線 天王洲アイル駅 B出口より徒歩4分 東京モノレール羽田空港線 天王洲アイル駅 中央口より徒歩5分
- 開館時間 :11:00~19:00(最終入場 18:00)
- 入 場 料:一般1200円、大学生/専門学校生 700円、高校生以下 500円 建築模型倉庫見学(オプション):500円