遊びながら美術に親しむ体験展示「日本美術のとびら」東京国立博物館の新体験展示室を取材

2021年6月22日

投稿:M3PRESS編集部

東京国立博物館 本館に、体験展示「日本美術のとびら」が2021年6月22日(火)に新オープンしました。

編集部撮影

同展示は「日本美術にはじめて触れる方が、トーハクを訪れたとき、最初に体験していただきたい展示室」というコンセプト。幅14mもの巨大スクリーンに映し出されるデジタル年表や、来館者自身の体の動きに連動するインタラクティブな仕掛けを持つ体験コンテンツなど、大人から子供まで、日本美術の流れを直感的につかみ、鑑賞のポイントを体感できます。編集部ではオープン前日に開催された報道内覧会を取材、実際に展示を体験してきました。

スポンサーリンク

展示のようす

「日本文化紹介映像 A GLIDE ON THE GREAT WAVE」

トーハクのコレクションを代表する数々の名品で構成された映像「日本文化紹介映像 A GLIDE ON THE GREAT WAVE」(約8分)。日本美術を知る旅のはじまりです。

編集部撮影

日本の美意識は、四季折々の風景や、伝統行事を楽しむ人々のいとなみのなかで育まれてきました。映像は、浮世絵に描かれた<江戸>の町と、私たちがいる<東京>をダイナミックに行き来しながら、変わることなく今に続く美意識を描いています。

14mもの巨大スクリーンで日本美術を体験

展示室いっぱいに広がる巨大スクリーンは幅14メートル。およそ1万2000年前の縄文時代に始まる日本の美の流れがデジタル年表で紹介されます。スクリーン前の各所にある「わくわくポイント」に来館者が立つことでトーハクを代表する16の作品画像がそれぞれポップアップ。手をあげるなどの動作に連動するコンテンツによるインタラクティブ体験ができます。

blank
編集部撮影
blank
編集部撮影

いつでも会えるトーハクの名宝

こちらはトーハクを代表する日本美術の名品の複製(高精細複製品)を、季節ごとに入れ替えて紹介するというコーナーです。高精細複製品のため、ケースなしで展示されており至近距離でじっくり鑑賞することができます。

blank
重要文化財 風神雷神図屏風 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵 (高精細複製品) 
編集部撮影

複製の展示により気軽に鑑賞体験することが可能となりました。
名品であればあるほど、作品保護のために公開可能な日数が限られることに加え、他館への貸し出し依頼も多く、実際にトーハクで展示されるのは数年に一度ということもあるそうです。複製とはいうものの、現代の現時点での保管状況を完全再現しています。

blank
重要文化財 風神雷神図屏風 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵 (高精細複製品) (左)
blank
重要文化財 風神雷神図屏風 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵 (高精細複製品) (右)

高精細複製だからこそ成し得る「幻の展示」

反対面には重要文化財「夏秋草図屏風」(酒井抱一筆)が。もともと《夏秋草図屏風》は重要文化財「風神雷神図屏風」(尾形光琳筆)の裏面に描かれていたもので、光琳が《風神雷神図》を描いた約100年後、裏側に抱一が夏秋草図を描いています。

blank
重要文化財 夏秋草図屏風 酒井抱一筆 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵 (高精細複製品)

現在は保存のために別々の屏風に仕立てられている2作品ですが、高精細複製品による展示では、かつての姿のように表裏一体となっています。※2021年8月29日までの展示予定。

blank
重要文化財 夏秋草図屏風 酒井抱一筆 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵 (高精細複製品) (左)
blank
重要文化財 夏秋草図屏風 酒井抱一筆 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵 (高精細複製品) (右)

高精細複製品では彩色の忠実な再現

blank
国宝 孔雀明王像 平安時代・12世紀 東京国立博物館蔵 (高精細複製品) 編集部撮影

現存する孔雀明王像の中でも最高傑作とされる国宝「孔雀明王像」。華やかな彩色が目をひき、ハイライトや色のぼかしを巧みに加え、柔らかでふっくらとした印象を生み出しています。しかし作品保護のため、本物の作品を明るい光のもと見ることはできません。高精細複製品での展示により、彩色の忠実な再現とともに金の表現も感じることができます。※2022年3月末まで展示予定。

blank
国宝 孔雀明王像 平安時代・12世紀 東京国立博物館蔵 (高精細複製品)

複製品の今後の展示予定

季節にあわせて展示替が行われるということです。

  • 2021年8月31日~11月28日:国宝 観楓図屏風(高精細複製品)
  • 2021年11月30日~2022年2月27日:国宝 松林図屏風(高精細複製品)
  • 2022年3月1日~5月29日:国宝 花下遊楽図屏風(高精細複製品:復元)

体験展示「日本美術のとびら」の概要

blank
体験展示「日本美術のとびら」メインビジュアル

東京国立博物館では日時指定事前予約が必要です。最新の開館情報および事前予約についての詳細は、東京国立博物館ウェブサイトからご確認ください。なお、特別展の事前予約をされた方は、総合文化展の事前予約の必要はありません。

  • 名称:体験展示「日本美術のとびら」
  • 会場:東京国立博物館 本館特別3室
  • 開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
    • *特別展の開館時間は、別途ご確認ください。
  • 休館日 :
    • 月曜日 (ただし月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館)
    • 2021年12月14日(火)、
    • 年末年始(2021年12月26日(日)~2022年1月1日(土・祝))、
    • 2022年1月4日(火)
    • その他臨時休館あり。
  • 観覧料:(総合文化展観覧料) 一般1,000円、大学生500円、高校生以下無料
    • 東京国立博物館の総合文化展観覧料または開催中の特別展観覧料(観覧当日に限る)でご覧いただけます。
    • 入館にはオンラインによる事前予約(日時指定券)が必要です。
    • 大学生の方は、学生証をご提示ください。
    • 障がい者とその介護者各1名は無料です。入館の際に障がい者手帳等をご提ください。
    • 高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は、総合文化展について無料です。入館の際に年齢のわかるもの(生徒手帳、健康保険証、運転免許証など)をご提示ください。
スポンサーリンク

東京国立博物館ウェブサイト<交通・料金・開館時間>

東京国立博物館 - 来館案内 交通・料金・開館時間

東京国立博物館-トーハク-の公式サイトです。展示・催し物の情報や来館案内、名品ギ…
www.tnm.jp
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=113

取材ご協力

  • 取材ご協力:東京国立博物館さま、文化財活用センターさま
  • 写真は明記があるのものについては報道内覧会にて編集部撮影、それ以外は主催者さまご提供の広報用画像

関連記事

blank

《会場レポと見所紹介》特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ―三輪山信仰のみほとけ」東京国立博物館

東京国立博物館(上野公園)にて、特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ―三輪山信仰のみほとけ」が、6月22日に開幕しました。会期は2021年9月12日(日)までとなります。編集部では前日に開催された報道内覧会を取材、展覧会会場のようすとともに、本展の見どころを紹介します。
m3press.jp
https://m3press.jp/shorinji2020/
blank

《会場レポ》博物館で旅するイスラームの世界「イスラーム王朝とムスリムの世界」見所紹介(東京国立博物館 東洋館)

特別企画「イスラーム王朝とムスリムの世界」(東京国立博物館 東洋館にて)を取材。マレーシア・イスラーム美術館から精選した美術工芸品・歴史資料を展示する特別企画は2022年2月20日(日)までの開催。全15章にわたるバラエティあふれる構成で、イスラームの世界へ時空を越えた旅を楽しめます。
m3press.jp
https://m3press.jp/tnm-isc/