[会場レポ] 「印象派からその先へ ― 世界に誇る吉野石膏コレクション展」三菱一号館美術館[閉幕]

2019年10月30日

投稿:ミュージアムズ編集部
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優しく、親しみやすい作品でフランス近代絵画の流れを一望する展覧会

 三菱一号館美術館では、2019年10月30日(水)から2020年1月20日(月)までの期間、石膏ボードでおなじみの大手建材メーカー・吉野石膏株式会社による、珠玉のコレクションを紹介する展覧会「印象派からその先へ ―世界に誇る吉野石膏コレクション展」が開催されます。本展ではルノワールの初期から晩年までの重要な作品、モネの《睡蓮》や、ピサロ、シスレー、セザンヌの詩情豊かな風景画、ルノワール、ドガ、カサットによるパステル画、ピカソの肖像画、国内有数の質と量を誇るシャガールの油彩画など、フランス近代絵画の流れを一望する選りすぐりの72点が一堂に会します。編集部では開幕に先駆けて開催されたプレス内覧会を取材しました。

  • 記事中の画像はすべて、プレス内覧会(2019年10月29日、三菱一号館美術館館)にて編集部撮影
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展覧会のようす

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 ルオー3点、ピカソ3点、ユトリロ2点、シャガール10点の他、コレクション展示として三菱一号館美術館の所蔵品より19世紀末の象徴派の画家オディロン・ルドン作《グラン・ブーケ(大きな花束)》も展示。まさに「近代美術史いいとこどり」の展覧会です。

浮世絵の影響

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  • カミーユ・ピサロ 《モンフーコーの冬の池、雪の効果》 1875年 油彩 / カンヴァス 吉野石膏コレクション

 カミーユ・ピサロは1874年から1886年まで8回に渡って開催された印象派の展覧会にすべてに参加しています。 画面中央に樹木を大胆に据えた構図の《モンフーコーの冬の池、雪の効果》 (写真)では、当時パリで流行した浮世絵の影響も見て取れます。

ルノアールの作風の移行

 本展のメインビジュアルにもなっているピエール・オーギュスト・ルノワールの 《ジュザンヌ・アダン嬢の肖像》 。ルノアールは1880年代の後半より「アングルの時代」と呼ばれる輪郭のはっきりとした古典的な作風へと移行していきました。

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 ※写真の《ジュザンヌ・アダン嬢の肖像》は展示物ではなく、あえてフォトスポットのものを撮影しています。

オディロン・ルドン 《グラン・ブーケ(大きな花束)》

19世紀末の象徴派の画家オディロン・ルドン作《グラン・ブーケ(大きな花束)》。こちらは三菱一号館美術館の所蔵品。

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  • オディロン・ルドン《グラン・ブーケ(大きな花束)》1901年 パステル/カンヴァス 248.3×162.9cm 三菱一号館美術館蔵

ユトリロ「白の時代」

 フランス国外から作家が多数集まっていったエコール・ド・パリ(パリ派)の中で、モーリス・ユトリロはパリ生まれでパリ育ちの画家です。写真左の《モンマルトルのミュレ通り》が制作された1911年頃は後にユトリロの「白の時代」と呼ばれるのですが、厳密には「白」ではなくて灰色やベージュなどの微妙な色合いの中間色でパリの街の質感を表現しています。

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フォトスポットとミュージアムショップ

 会場内の一部にフォトスポットが設置されています。

開催概要

 11月25日、12月30日には、声の大きさを気にせず鑑賞できる日「トークフリーデー」を開催。 詳細は公式サイトをご確認ください。:https://mimt.jp/guide/talkfreeday/

  • 会期:2019年10月30日(水)~2020年1月20日(月)
  • 開館時間:10:00〜18:00
    ※入館は閉館の30分前まで(1月3日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで)
  • 休館日:月曜日(但し、祝日・振替休日の場合、1月20日、トークフリーデーの11月25日と12月30日は開館)
    トークフリーデーは声の大きさを気にせず鑑賞できる日です。
    年末年始休館:12月31日、1月1日
  • 問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

展覧会特設サイト